革の種類や製法ってたくさんあって、初めて革財布を買おうと思っている方は、
「なんの革を選んだらいいの?」
「色々ありすぎてよくわかんねぇ!」
って思っている人が多いと思います。
そんな人にはブライドルレザー一択!
とにかく、ブライドルレザーはかっこよくて初心者にもオススメなんです。
水、キズ、型崩れといった革財布の弱点を克服し、さらに高級感があってエイジングもバッチリ。
さぁ、今日はそんなブライドルレザーの魅力を説明していきしょう。
この記事に書いてあること
そもそも「ブライドルレザー」って?
まずはブライドルレザーの初歩的なところから説明していきましょうか。
そもそもはイギリス発祥で、1000年以上も前から作られている伝統的な革なのです。
「とにかく丈夫な革が欲しい!」
という当時のイギリス人の要望に応えるため開発された経緯があったりするんです。
ですが、ブライドルレザーが財布やカバンなどの小物に使われだしたのは10年ほど前なんですよね。
もともと硬すぎて、財布などの小物に使うには向いていない革でしたから。
とはいえ、ブライドルレザーのバッグや財布が当たり前になった現在でもブライドルレザーを上手に加工できるブランドはほとんどありません。
もともとは馬具だった「ブライドルレザー」
ブライドルは、英語で書くと「Bridle」。これは馬の「手綱」や「くつわ」といった意味です。
その名の通りブライドルレザーは馬具に使用されている革。
ほかの革よりも丈夫さを出すため、オイルの代わりにロウを使ったグリースを染み込ませているのですが、ロウのおかげで耐久性と耐水性が他の革と比べてもバツグンなんです!
強度や独特の手触り、経年変化から、もともと馬具用の革とは思えないぐらい人気の革なんですよ。
手間暇かけたブライドルレザーの作られ方
ブライドルレザーは作る労力がすごいんです。
まず普通の革と違って、革の銀面(表面)を削る必要があります。
次に、革を鞣(なめ)したあとに行う「加脂」という油分を加える工程で、「ブライドルグリース」を革に浸透させます。
そしてこの加脂工程がまた長い時間かけてるんですよね。タンナーによってブライドルグリースを浸透させる時間は変わってくるのですが、一般的には3ヶ月から長くて1年ほど。
革の表面を削ることでグリースを染み込みやすくしているんですけど、それでも最低3ヶ月以上はかかる面倒くささ。
グリースを浸透させるっていっても放置プレイじゃ無理ですから、温度管理やら何やらで結構手間がかかります。場所も取りますしね。
一般的なドラムなめしのヌメ革が1週間ぐらいで出来ることを考えると、ブライドルレザーは手間暇かけすぎでしょ。これが人気の秘密なのです。
さらに、銀面(革の表面)を削らす残したままにした「フルグレインブライドルレザー」なら1年以上かかるんだとか。頭おかしいですよね!(褒め言葉)。
強度のために貴重な部位を惜しみなく使う姿勢
先程から何度か出ているように、ブライドルレザーは強度を重視している革です。
使用されている部位は、牛革の中でも背中や肩などの丈夫な部分の革。
安物の革財布などでは柔らかいお腹の部分を使ったりしてコストを下げていますが、ブライドルレザーは男気溢れる堅牢な部位のみを使用!
古き良きものづくりに対する姿勢が、ブライドルレザーをさらにカッコよくしてくれるのです。
手触りの良さとエイジングがカッコいい!!
僕がブライドルレザーをオススメする一番の理由は「手触り」と「エイジング」。
あとで詳しく書きますが、革の表側をバフがけされていて模様が無いスムースな表面なんです。
触り心地はつるつるとして、なおかつハリがあるので薄くてしなやか。不思議な感触です。
エイジングしていくことでツヤと深みがでるので、毎日財布を触るのが楽しみになりますよ。
ブライドルレザーの主な特徴
1.ブルームがついている
ブライドルレザーの表面には白い粉のようなものが付いています。
この粉がブルームなんです。新品の証拠です。
初めての方は「汚れかな?」と思いがちですが、これは革をなめす時に染み込んだロウと油分が浮き出てきているだけです。
このブルームは毎日使っていると自然と消えていきますし、拭き取ってしまってもかまいません。
このブルームが「自然に消えるのを待つ派」、「拭き取っちゃう派」で分かれるのもブライドルレザーの面白いところですよね。
財布をポケットに入れている人はズボンが汚れるので、使う前に拭き取ってしまうのがオススメです。
2.表面がつるつるでシボがない
一般的な革は、「型押し」や「シボ」ついていることがありますが、ブライドルレザーは模様が付いていることがほぼありません。
シボがあるのはホワイトハウスコックスの型押しブライドルや、ワイルドスワンズのフルグレインブライドルレザーぐらいでしょうか。マニアックですね。
※シボというのは革の模様。一般的な革を想像してもらったら分かると思いますが、表面にある模様が「シボ」ですね。
一般的なブライドルレザーは表面がスムースなのと丈夫さのおかげで、独特のツヤツヤエイジングを楽しむことができます。
コードバンとブライドルレザーの違い
大前提として
- ブライドルレザーは牛革
- コードバンは馬革
です。そしてコードバンは特殊な革なので、よほど好きじゃない限りオススメはしません。
ブライドルレザーは「馬具に使われていた丈夫な革」ということもあり、知識のないショップ店員さんに、馬革のコードバンと間違えられたりすることもチョコチョコあったりします。笑
見た目も手触りも似ているのでよほど革好きの人じゃないと分からないことがあるんですが、この2つには大きな違いがあります。
長くなるので下記で分けて説明しましょう!
水に対する耐久力
まずね、コードバンは水に弱いんです。買ってから後悔する人が後を絶ちません。雨などの水滴が少しでも当たると水ぶくれができてしまいます。
※「俺のコードバンは水ぶくれなんてできねーよ」っていう人は残念ですがウレタン塗りです。コードバンを誇りたいなら、今すぐ水染め以上のランクを買い直しましょう。
そして、ブライドルレザーは水に圧倒的な強さを誇ります!
本来、革製品は水に弱いというのがセオリーですが、ブライドルレザーは他の革製品と比べると水に強い部類になります。
革を作る段階でロウを染み込ませているため、革に水分が浸透しにくいんですよね。
買ったタイミングで防水スプレーを振っておけば最強です。
シワの入り方が違う
これ実際に両方使ったことのある人じゃないとわからないネタなんですけど、コードバンって細かいシワが入らない(入りにくい)んです。
ブライドルはシワもバッチリ入るので、コードバンと比べるとエイジング感が変わってきます。
コードバン製の革靴だと履きジワがすごいですもんね。
とはいえ革靴は革靴。財布においてはブライドルのビシッとカッコよく入るシワのほうが革らしくてカッコいいです。むしろコレこそが王道のエイジングだと思います。
まぁ、ぶっちゃけるとコードバンの扱いは革の中でもトップクラスに難しいので、革靴ならともかく、コードバンの財布をオススメする理由なんてないでしょう。
コードバンは隠されたランクが存在する
じつは、コードバンはオイル染め、水染め、ウレタン塗り、と大きく3種類にわけることができます。
これが曲者なんですよね。
とくにウレタン塗りのコードバンなんてエイジングもクソもありません。アタリが死ぬほどダサいし、シワの入り方で辛うじてコードバンということが分かるぐらいです。
逆に、ブライドルレザーはどこのタンナーであろうと、一定の品質が保たれているように感じます。
縫製は別として、革質が酷いものは見たことがありません。
よくわからずに変なブランドのコードバンを買うぐらいなら、迷わずブライドルの財布を選んでください。
ブライドルレザーのお手入れ方法
「ブライドルレザーは水に強い」といっても、それは新品の時が最大の状態。
ブライドルレザーは表面を削るという工程を加えているため、表面の油分やロウがなくなってしまうと、他の革よりも水を吸い込みやすくなります。
さらに時間が経つにつれて油分や微量に残っていた水分が抜けて乾燥してきますので、定期的なメンテナンスをしたほうがいいです。
手入れ用のクリームは、僕も使っている「コロニルの1909シュプリームクリーム」をオススメしています。
ほかにもクリームはありますが、大体のクリームは革靴やソファなど他の用途で作られていますから。
コロニルじゃないにしても普段手に持つ財布だからこそ、肌についても問題のないクリームを選ぶようにしてください。神経質な人は蜜蝋オイルを自作してもいいと思います。
新品時のブルームは落さない方がいいの?
ブライドルレザーには特有の白い粉「ブルーム」が付いてると冒頭で書きましたよね。
革の種類によっては無い場合もあるんですが、このブルームは革の中にあるワックスが浮き出てきたものです。
「この白いのがいいんだ!」という人以外は、ブルームは最初に磨いて取ってしまった方がいいと思います。
理由としては大きく2つ
- スーツや服に付いたら落とすのが大変
- 防水スプレーをする時に皮膜ができてしまう
ブルームはロウなので撥水効果はありますが、しっかりと防水スプレーでメンテナンスしたい方はブルームは落としましょう。
この2つが気にならない方なら、1ヶ月程使っていれば自然にブルームは落ちていきますので、ブルームが付いた状態を楽しんだあとに、メンテナンスの時に落とすというのもいいかもしれませんね!
ブルームは柔らかい布で優しく拭くだけすごく簡単に落ちます。
力を入れずに表面を素早く、かつ優しく撫でるようにしてみてください。熱を入れるイメージでシャカシャカするといい感じで抜けます。
ただし、ブルームは一度落としてしまうと復活しないので、落とす前に写真を撮って思い出として保存しておきましょう。
ブライドルレザーのエイジング(経年変化)
ブライドルレザーは基本的にはヌメ革と同じ「タンニンなめし」の革です。
ヌメ革と違って革が硬いので馴染むまでに時間はかかりますが、その分しっかりとエイジングします。
表面がツルツルの革なので、ツヤ感が出て深みが増していきます。スムースレザーはキズも目立ちますが、それもまたアジとして楽しめますよ。
ヌメ革とはまた違った経年変化が楽しめるので、できれば内装がヌメ革のものを選ぶとエイジングの良いところを二重取りできます。笑
ブライドルレザー財布を作っているブランドは?
ブライドルレザーは加工が難しいので、日本で作っているブランドは限られてきます。
日本だと、この2社が有名かなと思います。
国産大手の土屋鞄とかも一応ブライドルを作っていますが力を入れている感じもしませんし、やはりブライドルといえばGANZOかココマイスターが無難ですかね。
あとは、あまり知られていませんが、「ウォームスクラフツマニュファクチャー」という新喜皮革のオリジナルブランドがあります。ここの財布も好きです。
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また海外に目を向けると、ブライドルレザー本家のイギリスの、
- エッティンガー
- Whitehouse Cox
- グレンロイヤル
この3社が有名ですね。英国御三家とか呼ばれていたりします。
ただし、海外物は関税や色々な権利のシガラミがあって、値段のわりには質がちょっと・・・という感じです。これ内緒ですよ。
ブライドルレザーまとめ
いかがだったでしょうか?
この記事を読んで、ブライドルレザーについて少しでも分かって頂けたら嬉しいです。
- イギリス発祥で元は馬具で使う革だった
- 革が堅牢で、一般的な革よりも強度がある
- 経年変化がゆっくりで長く使える
- 表面を削って専用グリースを染み込ませている
- 白い粉ブルームついている
ブライドルレザーに関してはこの辺を覚えておけばいいと思います。
また、硬い革っていうのは「その分だけ薄くできる」ということなので、ビジネスマンに人気なのも合わせて覚えておくと便利です。
まー、ザックリいうと「メンズ財布として最高の革」ですね。
値段に対しての品質もいいので、初心者にも自信を持ってオススメできますよ。